教室と、初恋。


ほかのお客さんから苦情が入ったのだろう、まっすぐわたしたちの席に向かってくる。


一瞬わたしと目が合って、驚いた顔をされてしまった。


だけどすぐにそんな顔をしまって、営業用の、明らかに冷たい笑顔で話しかけてくる。



「すみませんお客様。ほかのお客様のご迷惑となりますので、お声を控えていただいてもよろしいでしょうか。
 あと、うちのバイトも返してくださいね」


「あー? すみませんでしたー。
 全くもー、しらけるなー」



どれだけ笑ったのか、目じりの涙を拭いながら態度悪く言うゆき。


そんなゆきにも何も言わず、不快そうな顔すらせず、一礼して、深森さんを連れて戻っていく副店長。



わたしはもう辛かった。


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