教室と、初恋。
多少無理をしてしまったかもしれないけれど、慎重に慎重に行くよりはかける迷惑も少ないだろうと思って。
もちろん、お姉さんには負担をかけないよう最低限の注意はしたけれど。
そしてわたしはお姉さんを人ごみから外れたところに連れてきた。
「大丈夫ですか? 無理してしまってごめんなさい……」
「いいえ、ありがとう親切にしてくれて。助かった」
頭を下げたわたしに対し、柔らかく微笑んでくれるお姉さん。
綺麗な顔とその笑顔に、ふわっとお花に包まれたような幸福感を覚える。
「あの……少し回ったところにエレベーターがあります。よかったらそちらまでご案内しましょうか?」
綺麗でか弱そうなお姉さんを放っておけなくて。
出しゃばっちゃったかな、と思ったけれど、気がついた時にはそう言っていた。