教室と、初恋。
「え……ごめんなさい、色々と……。迷惑ついでに、お願いしちゃってもいいかな?」
わたしの申し出に、少し恥ずかしそうにも見えるようにはにかんで言うお姉さん。
女性らしいその仕草に、女のわたしもきゅんとなる。
そしてわたしはまたお姉さんの後ろに回り、車いすを押させてもらった。
「ごめんね、厄介事に巻き込んで……。高校生、だよね?」
「はい、高2です! 全然厄介とかじゃないんで気にしないでください」
風が前から吹いてきて、ふわりといい香りがした。
金木犀……?
「そっか、青春まっただ中だね。今日は彼氏くんの応援とか?」
からかうように笑うお姉さん。