教室と、初恋。


そして篠崎先生を探すと、彼は少し遠くですぐに見つかった。


だけど先生のほうが先にわたしに気づいていたらしく、わたしのほうをぼーっと見ていた。



半袖のシャツにジャージという、教室じゃ見ない先生のラフな格好にどきっとした。


シャツから覗く腕の筋や鎖骨に、ついきゅんとしてしまう。



……いけないいけない。こんな不純な。




少しためらいつつも、小さく手を振ってみると、篠崎先生ははっとした様子でこっちに歩いてきてくれた。



「……岡野、倉橋の応援?」


「あっ、はい! 母に行って来いって言われちゃって」



開口一番聞いてきた先生に、笑って答える。


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