お前、俺に惚れてんだろ?
いつもみたいに、あたしをからかってくるような調子ではなかった。


「悪かったな」


そう言って、あたしに背中を向けて立ち上がる燈馬くん。


「…ただ、1つだけ言っておく」


振り返った燈馬くんの瞳が、押し倒されて乱れた髪を手ぐしで梳かすあたしを捉えた。


「他の…、“そのへんにいる男”といっしょにすんな」


それだけ言うと、燈馬くんは部屋から出て行った。
< 562 / 973 >

この作品をシェア

pagetop