~赤い月が陰る頃~吸血鬼×妖狐執事
〜零side〜
凛様がお部屋に向かわれたのを確認し、
私は食堂へ向かう。
そして、食事を片付けていると一人のメイドが私に声を掛けてきた。
「あの、零さん。お嬢様は?」
「お嬢様が、今日は食事は要らない、と」
「……そうですか。」
すると、それを聞きつけたメイド長が、少し険しい表情をしてこちらへやってくる。
「零さん。お嬢様の健康状態を管理するのは
貴方の役目だと旦那様から仰せつかっています。
ちゃんと役目を果たせていますか?」
この人の名前は茅場 美里(かやば みさと)。
私が来る前に、凜様の専属だったらしい。
それ故か、お嬢様を人一倍心配している。
「……申し訳ありません。」
「いえ、謝る必要はないわ。
ただあの方は1人で抱え込む癖があるから、
しっかり見てあげて欲しいの。」
「……分かりました。
……じゃあ、少しお嬢様の様子を見てきますのでここをお願いしてもいいですか?」
「ええ、もちろん」
美里さんの返事を聞くと、私は厨房へ向かう。
(温かい飲み物を持って行った方がいいだろうか)
アンティーク調の白いカップを取り出して、
手早くココアを作り、食堂を後にした。