~赤い月が陰る頃~吸血鬼×妖狐執事
「おかえりなさいませ、お嬢様」
家に着き、玄関に差し掛かると数人のメイドが、
待ち構えていたように、頭を下げる。
「……ただいま」
「零さん、お嬢様のお荷物お持ち致します」
「……必要ない。
それより、すぐにお風呂の準備を」
私が靴を脱いでいる間に、零がそう、素早く指示を出す。
「「了解しました 」」
そう言ってメイド達は軽く頭を下げ、
そそくさと準備へ取り掛かり始めた。
「お嬢様。お召変えが済みましたら、すぐに夕食を
ご用意致しますので、食堂までお越し下さいませ」
「……ん」
いつもどおりの段取りに、いつの間にやら肩の力が抜け、
ふ抜けた返事を返し、部屋へと向かった。