あの日のチョコをもう一度
「何、これ?まさか、お前の手作り?あり得ねー!お前、そんなキャラだっけ?」

何......いってんだ......?俺......?


気づけば俺は、そんなことを口にしながら、美野里を嘲笑うようにゲラゲラ笑っていた


「まさか、本命チョコ?お前が?気持ちわりー」


何、いってんだよ!俺!


止まれよ!この口!



美野里を見たら、絶望しきった顔をしていた


違う、違うんだ......美野里......!


俺は、言い直そうとした


そしたら......



「何、いってんの?あんたなんかにあげるわけないじゃん。あんたみたいな最低野郎に」


そこには、俺の知らない美野里がいた


男みたいな低い声、俺を軽蔑しきったような冷たい瞳


まるで、美野里じゃないみたいな......


「み、美野里......?」


俺の口から出た声は、震えていて、怯えてるみたいな声だった

だけど、美野里はそんなの声を無視しながら続けた


「でも、あんたにはそれなりに世話になったから、別のバレンタインチョコをあげるよ」


そういった瞬間、美野里の拳が俺の顔面に直撃した

重い拳をくらい、俺は地面に転がり込む


そんな俺を見下ろしながら、美野里は冷めた瞳で


「これが、あたしからのあんたに向けてのバレンタインチョコ」


と冷たい声でそういった


呆然としてる俺を無視し、美野里は近くにあったゴミ箱にあるものをぶちこんだ


それは、きっと、俺が貰えるはずだったチョコ......


そう思って、美野里を見たら


「あんたなんかを好きになった、あたしが馬鹿だった......」


そう、一筋の涙を流しながら美野里は小声で呟いた




嗚呼、俺はなんて馬鹿なことをしてしまったんだろう


好きな女の子の気持ちを、こんな最低な形で踏みにじるなんて......


俺は、ゴミ箱から美野里が作ってくれたチョコを取り出した

ラッピングを開けると、そこにはプロ並みの出来映えのフォンダンショコラがあった

こんな手の込んだ物を用意していてくてれていたのに......

「俺、本当に最低野郎だな......」


いつのまにか、目から涙が零れていた

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