あの日のチョコをもう一度
「葛原君、もういいんだよ?そこまで引きずらなくても......」


「美野里....?」


「あの時は、あたしたち子供だった。確かにあたしは酷く傷ついた。だけど、もういいよ。お互い、あの日のことは水に流そう?」


「よくない!あんなに酷いことをしたのに......そんな......」


「いいの!」


もう......いいんだよ......聡......


「ありがとう、あなたがそこまであの日のことを悔やんでくれていた、その事実を知れただけでいいんだよ。もう、葛原君が苦しむ必要はないんだよ?お互い、前に進もう?」


もう、苦しまないで......聡......


そう、思いながらあたしは気づいた......


あたしは、まだ聡が好きなんだって......


だから、ずっとあの日が忘れられなかった


苦しかった


そして、聡の苦しむ姿を見たくなかった


あたしは、逃げていただけなんだ......


情けないな......本当......


あたしはあの頃から何も成長していない......


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