あの日のチョコをもう一度
聡side


あー、もう、駄目だ......


俺は教室で絶望と戦っていた


この前、美野里にあの日のことを謝った


謝れたのはいいんだけど、美野里は何か全てを諦めたように“もう、お互い水に流そう?”といい、去っていってしまった

本当は、伝えたかったのに......

美野里が好きって......


でも、伝える前に美野里は行ってしまった


もう、伝えるチャンスなんてないよな......


「なーに、しょげてんだよ!聡!」

バシッ

真琴が俺の背中を叩きながら話しかけてきた


毎度思うが、なぜ一々俺の背中を叩く?

顔をあげると全く悩みがないような笑顔で俺を見下ろしていた

軽く殺意が湧く......


「ハァ、真琴。先謝っとくわ。美野里の手作り菓子、お前この先も食えないんじゃね?」

そう言うと、真琴は顔を青ざめた

「なんでだよ!?お前あの後、美野里に謝ったんじゃなかったのか?」

「謝ったよ。だけど、あっさりかわされたんだ。お互い、あの日のことは水に流そうって。何か、諦めたようにな」

「な、なんだよ、それ......。お前、自分の気持ち伝えたのか?」

「あの日のことをずっと後悔してたってことは伝えたさ。本当に悪いって思ってるってことも。だけど、好きだとは言えなかった」

「はぁ?なんだよ!それ!一番重要なこと言えてねぇじんか!」

「言う前に、美野里が去っていったんだからしょうがねぇだろ!」


こんな時まで、口喧嘩をする俺たちは相当なアホだよな


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