あの日のチョコをもう一度
「ねぇ、聡。あの3年前の今日、あたしはすごく傷ついた。勇気を出して告白しようとしたのを、する前に打ち砕かれたから.....」


聡は俯いて何も言わない


だけど、握ってる拳はひそかに震えてた


「あたしはその日を境に、聡が大嫌いになった。あれだけ好きだったお菓子作りも、何もかもどうでもよくなった。聡を忘れたくて、あのバレンタインの日を忘れたくてしょうがなかった」


「美野里.....、分かって「でもね」


「.....え?」


「どんなに忘れようとしても忘れられなかった。どんなに嫌いって思っててもあたしのどこかには聡がいた。そんな時、聡が謝ってきた、思いを伝えに来た。正直最初は迷惑だ!って思った。今更何って思った。だけど、心のどこかでは喜んでる自分がいた。正直、言われたとき、心臓はバクバクしてたしね」


俯いていた、聡が顔を上げた


その表情には戸惑い、だけどどこか嬉しさが滲んでいた


あたしは持っていた、紙袋を聡に差し出した


「はい、これ。あの日渡せなかったバレンタインチョコ。今度は受け取ってくれますか?」


そういって、あたしは目をつぶった


正直、怖かったから。受け取ってもらえるかどうか.....


そしたら、フワッと暖かい温もりに包まれた


目を開けたら、聡が涙を流しながらあたしを抱き締めていた


「本当.....?美野里、本当?」



きつく、きつくあたしを抱き締める聡


あたしはそっと腕を回した



「うん.....本当だよ、聡。あたしは聡が好き.....」



「俺も.....、大好きだよ.....美野里」



< 43 / 45 >

この作品をシェア

pagetop