親愛なるあなたへ
「分かってますよ、絶対泣きません。先輩こそ泣かないでくださいね」



「泣くわけねーだろ、バーカ」



そう言って先輩は私の髪の毛をクシャクシャしながら笑った。


私も先輩に負けないように満面の笑み浮かべる。先輩は安心したような顔つきで、呟いた。



「よし。始めるか、俺のラストライブ」



頭に上にあった大きな掌がギターを奏でようとした。


私は今までで最高の返事をしながら幕が上がるのをそっと眺めていた。
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