イミテーション彼氏 ~幼なじみと嘘恋愛~
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その日の放課後。
いつものように昇降口で彼を待っていると、数分で来た。
……左腕に女の子を絡ませて。
「お待たせゆず」
そう笑って、明るい茶髪を少し払う。
わたしは複雑な気持ちを隠して、ううん、と笑った。
「ねぇー、やっぱ一緒に帰ってくれないの? 陽太-Hinata-くん」
不服そうに陽太の腕を引っ張る女の子。
「うんごめんね、その代わり土曜日ちゃんと、
……イイコトしてあげるから」
女の子の頭を撫でて、昔は絶対にしなかった妖艶な笑みと低い声でなだめる陽太。
見るからに顔を赤くする女の子。
慌てて、辛くない、と自己暗示をかけるわたし。
「じゃあねみなみまた明日!」
「う、うん! ばいばいっ」
そう言って陽太はこっちに来てしまった。
ぽんやりとしてる女の子が少し気になるけれど……。
「いいの? 陽太」
「ん? 何が?」
……本人がこうだもんなぁ。