イミテーション彼氏 ~幼なじみと嘘恋愛~


* 。☆ . * . : . + * : ゜+ 。


その日の放課後。


いつものように昇降口で彼を待っていると、数分で来た。

……左腕に女の子を絡ませて。


「お待たせゆず」


そう笑って、明るい茶髪を少し払う。

わたしは複雑な気持ちを隠して、ううん、と笑った。


「ねぇー、やっぱ一緒に帰ってくれないの? 陽太-Hinata-くん」

不服そうに陽太の腕を引っ張る女の子。


「うんごめんね、その代わり土曜日ちゃんと、

 ……イイコトしてあげるから」


女の子の頭を撫でて、昔は絶対にしなかった妖艶な笑みと低い声でなだめる陽太。

見るからに顔を赤くする女の子。

慌てて、辛くない、と自己暗示をかけるわたし。


「じゃあねみなみまた明日!」

「う、うん! ばいばいっ」


そう言って陽太はこっちに来てしまった。

ぽんやりとしてる女の子が少し気になるけれど……。


「いいの? 陽太」

「ん? 何が?」


……本人がこうだもんなぁ。


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