イミテーション彼氏 ~幼なじみと嘘恋愛~


行こう、も何も言わずに自然に歩きだした陽太に続いて歩く。


「あの子。彼女じゃないの?」

「あぁみなみ? そうだけど」


そんな話の途中にも、どこかから女の子の、陽太ー! と呼ぶ声が聞こえてくる。

陽太はそれに笑顔で手を振って、何事もなかったかのように歩き続ける。


「この間の子はどうしたの。ルリさん、だっけ?」

「ん? 先週別れたよ。あいつゆずと二股かけてんだろとか言ってしつこかったもん」

「しつこいって……! ちゃんと誤解といてあげたらよかったのに!」


最低な言動。

本当……昔の陽太からしたら考えられない。


「やだよ。俺に固執するような女とは付き合えねーの俺」

「……意味わかんない、だいたいそれならさっさとわたしと一緒に帰るのやめたらいいのに」


ため息交じりに言う。

わたしだって嫌だな、幼なじみとはいえ自分の彼氏が毎日別の女の子と下校してたら。

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