イミテーション彼氏 ~幼なじみと嘘恋愛~
「は? 何言ってんの」
突然立ち止まった陽太。
「ゆずを一人で帰せるわけないじゃん、危なすぎ」
真剣な目で見られて、不覚にも心臓が跳ねる。
真摯な面もちゃんとあるんだから……彼女にもちゃんとそうやって接してあげればいいのに。
「……それ言う相手、わたしじゃなくて彼女さんだからね」
「いーのいーの、みなみもたぶん誰か他の男に送ってもらってるだろうし」
そう言ってスマホを触り出す陽太。
どうしてこんな遊びみたいな恋愛ばっかりするようになってしまったんだろう。
陽太が引っ越した8歳から帰ってきた15歳の間で、陽太にいったい何があったんだろう。
黒髪を茶に染めて、メガネをコンタクトにするまでだったら高校デビューの言葉ですまされたけれど、人格まで変わってしまった気がする。
しかもその7年間でいったい何があったのか、一切話してくれない。
わたしが好きになった8年前の陽太は……どこに行ってしまったのだろう。
そしてわたしは、こんな最低な陽太のことをどうして嫌いになれないのだろう。