イミテーション彼氏 ~幼なじみと嘘恋愛~
さらりと、コンビニ寄ろうか? みたいなトーンで言った陽太。
あまりの軽さに一瞬意味が理解できなかった。
「……は?」
自分でも間抜けだろうと思う顔をしながら、息を吐くだけで発した言葉。
つい足も止まってしまう。
「あ、違う、彼氏役?」
何やってんだよ、早く来いよ、みたいな顔をしてこっちを見る陽太。
「か、彼氏……役!?」
「うんそう。って俺じゃいやか」
わたしが再起動したことを確認して、また一人で歩いて行ってしまう陽太。
慌ててそれについていく。
「役ってそんな……! 今の彼女に悪いじゃん!」
「んーいいよ。どうせ本気じゃないし、みなみもそれわかってるし」
ほんの少し胸が痛む。
陽太がわたしのこと好きじゃないってのは、知ってたけど。
つまりわたしも……遊びの中の一人に入るってことだろうか。