まほうのそら。(完)
「嫌だよって...」
どうしよう。もう学校には誰もいないと思うんだけど、こんなとこ見られたら
誤解されちゃうよ。
「キスの練習。しようよ?メガネ返してあげないよ~?」
そう言って私のメガネをひらひらさせた。どうしよう~メガネのこと
忘れてた。このまま逃げ帰ることもできなくなったし。
「返しっ...てよ!」
一生懸命てを伸ばすけど届かない。
本当にどうしよう。泣きそうになったとき。
癒樹の手からメガネをひょいっと取って...
「返してやれよ。泣きそうになってるし。」
そう言って私にメガネを渡した、この人は。
「は、原田真広...」
一ヶ月ぶりぐらいに話した原田真広だった。