サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~

「とんだ邪魔が入っちゃった」
彼が少し困ったなって顔で言う。

「よかったじゃないの。お友達に会えて」


彼は、ほっとしたように一息ついて言う。
「いいことばかりじゃないよ。多分、俺が君を連れて、ここに来たことは、仲間や、親戚中に知れ渡ったと思う」言い終わる頃には、もう笑ってた。形のいい唇に笑みを浮かべて。


「お友達や親せきに知られるとまずいの?」

それのどこが問題なの?
結婚に前向きだって宣言したみたいになっても、違うって言えばそれで済むんじゃないの?


「実家の母の耳にも入ったな」
ちょっと、本当に困ってるの?
どうしてそんなに嬉しそうなのよ。


でも、井上眞子社長が母親かあ。

うわあああ……すごい濃い家族だなあ。それだけは同情する。
朝起きて社長がキッチンにいて、おはようっていうのかなあ。
そんなはずないか。


「えっと、何て言ったらいいのか」
心から、同情する。


「バレちゃったもんは、仕方ない。いまさら、慌てても仕方ないだろう。それに、お前笑ってるけど、人ごとじゃないぞ」
今度は、彼の方が何もわかってないけど大丈夫か?
と、私に不安の種を植え付けようとしてるみたいだ。


「なんでよ」私、べつに関係ないでしょ。


「さっき波多野に、名前と部署名まで堂々とバラしちゃったよね。言っとくけど、俺は関係ないからな」
ん?確かにそうだけど。それがどうしたっていうのよ。

「何よ。その言い方。気になるじゃないの」


「楽しみは、また後でな」
彼は、楽しみを見つけたみたいに笑った。
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