サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
ウェディングサロンに移動して、今度はドレスの試着だ。
入口のところに、数点ドレスがかかっている。
順番に係りの人が一点ずつ、丁寧に説明してくれる。
どれも素晴らしいドレスで、こいうのを着れば少しはきれいだって思ってくれるかもしれない。
けど、本当にドレス着るの?周りのカップルは、本当に仲がよくて実際に結婚するつもりで来ている。そうじゃない私が着てもいいのかなと思う。
「こちらが、プリンセスラインのドレスでございます」
「可愛い」
ふんわりと裾が広がった可愛らしいスカート。
フランス製のレースが息をのむほど美しい。
リバーレースを贅沢に用いたエレガントなオフショルダーのマリエ。
ロングトレーンはあの教会にもよく似合うだろうな。
でも、これは菜々ちゃんが着ていたものによく似ている。
「可愛いけど……」何となく、これはパス。
「他にもあるよ」
「どれも、今年の新作でございます。気に入ったものがあれば、後で、実際に試着できますよ」
「井上さんは?どれがいいの」
「俺は、そのとなりかな。肩が出てるやつ。隙があればキスしたくなる」
私は、井上さんらしいって笑った。
「そういうので、選ぶの?」
「どれも着てみれば似合うよ、だけど、意見なんか言ったって、どうせ俺の意見は受け入れられない」