サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
「本当にひどい人ね。泣かせるために、私に指輪を見せたの?」
彼は、私の手を取って指を愛しそうにそっと撫でた。
「そうさ、こうして慰めてあげたかった。心が手に入ってないうちに君を抱くのは、後悔すると思ったから」
本当に自分に自信を持ってるのね。
欲しいものは手に入れる。
思い通りにならないものはないって。そういう目で、私のことをまっすぐ見つめてくる。
「そっか、それで、あの時冷たかったの?」
きちっと考えてくれてたのに、だらしのない態度を取ってがっかりさせたのかな。
彼は、思い出したように笑う。
「君が酔って、俺の部屋に来たときのこと?」
私は、頷いた。
彼は、私のおでこに指をあて、ピンと弾いた。
「痛っ」
彼が本気で弾いたから、結構痛かった。
「もしかして、自分でなに言ってたか覚えてないとか?」
彼が悪いことした生徒に叱るように言う。
彼は、手に持ったグラスを置いて私の腕をつかんだ。
真面目に答えろっていうふうに。
「ええっと、ごめんなさい。実は、そうなの。どうしてそこまで不機嫌にさせたのか、まだ、よくわかっていないのかも」
鋭く射貫くように私を見据えて、冷ややかに言う。
「へえええ。じゃ、俺がなんで怒ってたのか、全然分かってないんだ」
彼は、体を起こして私をまっすぐ座らせた。
「聞かなくてもいい?」
覚えてないって白状したじゃないの。そんなにいじめないで。
彼は、急に立ち上がった。
何も言わずに。無表情で。
彼を、怒らせたのかと思うと不安になる。
「こっちへ来て」
彼は、私を部屋の奥にあるベッドルームに追いやった。
「そこに座って」
言われた通り、部屋に入ってベッドに腰かける。
ベッドは一つだけ。大きくて、二人で寝ても十分な大きさだ。
彼も横に座った。