サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
空が明るくなって目が覚めた時、彼の固い胸の上で手を添えたまま眠っていた。
隙間なく合わさった肌と肌は、お互いの体の皮膚が一体になっているようになじんでいる。
「お腹すいてない?」彼が聞きてくる。
「ん」減ってる。昨日の昼から何も食べてない。
「夜食届いてるはず」
希望が見えてくる。
でも、身にまとうものがない。この姿でどうしたらいいのか分からない。
「そうなの?どこに?」
だったら、もっと早く教えてくれればいいのに。
「サンドウィッチかおにぎり。そんなもんだろうけど」
きっと、シャンパンと同じように、いつの間にか届けられてるんだ。
取りあえず何か着るもの探さなきゃ。
寝室のドアを開けようとしたら、ベルが鳴った。
井上さんが、さっと着替えて、部屋の入口で対応した。
何も身に着けてない私は、寝室でじっと待っている。
「朝食が届いた。それから、君の着替えも」
手を伸ばしたけど、無視された。
「えっと」
「こっちへおいで」
そういわれても、何も身に着けてない。
そっちに行くのは無理です。
「おいでって言われても。だから、あの……」
「ああ、ごめん。うっかりしてた。ドレス返しちゃったな」
ええっ?
「だったら、あの。着替えをください」
「ダメ。そこにシーツがあるだろ?」
「ひどい。自分だけ着替えて」
彼、本当に嬉しそう。
「どうせ今着たって、すぐに脱がなきゃいけないから、無意味だろ」
彼は、シーツを巻き付けた私の食事を、散々邪魔すると、
「おいで」といってもう一度、私を寝室に閉じ込めた。
彼の言う通り、せっかく泊まったホテルを満喫することなく、チェックアウトの時間までずっと部屋で過ごした。