サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
「今週、どこかで集まろうと思ってるんだけど」
やっぱり、青木君、声のトーンが少し低い。
何か気になることでもあるのかなと思って、彼の顔をのぞき込む。
やんわり、何でもないからと、いいよって手で拒否された。
青木君、こういう時真っ先にふざけてくるのに、今日は、いつもと違う。
「今のところいつでも大丈夫だよ」
何かあったかな。
後で、久美子にでも聞いてみよう。
えっと、予定か……
大丈夫とは言ったけど、週末は、空けておいた方がいいのかな。
いつ、何を言い出すのか分からない人だから。
「今、何考えてた?」
今度は、まっすぐこっちを見据えて尋ねてくる。
「何も考えてないよ。予定、大丈夫かなって思っただけ」
「花澄ちゃん……ブラウスのボタン、一番上まで止めた方がいいよ」
青木君の視線が、私の視線より少し低い位置に向けられている。
彼が見てる場所と同じ場所を見ようと下を向く。
「んん?」
「花澄ちゃん?」
声に反応して顔を上げた。
私の顔を見ようとして、近づいてきた青木君とぶつかりそうになる。
彼が、のけ反るようなしぐさをした。
どこかにぶつかったような気がした。
「ごめん、どこかぶつかった?」
彼は、私の質問には答えなかった。
珍しく、怒ってるのかイラついてるのか、分からない口調で彼が言う。
「花澄?土日とも、いったい何してたの?いろいろ相談しようと思ってたのに」
「なんか予定あったっけ?まさか。私、何か約束してた?もしかして、約束すっぽかしちゃった?」
慌てて記憶をたどる。
そんなのなかったと思うけど。
「違う。土曜日君に会いたいと思ってたんだ。それで、ずっと、携帯に連絡してたんだけど。通じないし。留守電入れたのに、返事もまだ来てないし。体の具合が悪いんじゃないかって心配したんだけど。今日は、全然元気そうだね」
「ごめん、電話に気付かなかった」
本当に、いろいろありすぎたし、携帯はほとんど私の手元になかった。
「気付かなかっただって?まあいいや。それにしても、何かいい匂いするね。何となく雰囲気違うし」
「そうかな?特に何も変えてないけど」
もっと普通にしてたら、週末のこと話すんだけど。
「休日のことは、追々聞くから。そうだ、石田が出欠の返事が来てたって言ってたぞ」
「ありがとう。彼女の都合も聞いておくね」
「ああ」