サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
オフィスに戻ると、デスクの前で青木君に呼び止められた。
「花澄?ちょっと来てくれるかな?」
リストを見せられて、手招きされた。
彼に、手を引かれて人目に付かないところまで連れてこられた。
「どれ?青木君」
彼が持ってきたリストを手にする。広げてみて、すぐに何だかわかった。
これ、招待客リストじゃん。
「ちょっと、これってさっきも確認したじゃない」
言い終わらないうちに、ぐいっと腰に回された腕に引き寄せられて、こめかみにキスされれた。
久美子が仲を取り持ってくれて、仲直りした。
最近、真裕さんと会ってないってことも、彼の耳に入ってる。
「もうすぐだね。二次会済んだら自由だね。二人で、どこかに行こうか?」
「二次会の後は、三次会じゃないの?」
「そこまで残らなくっていいだろう?散々酷い目にあってきたんだ。
二人でいっしょに帰ろうよ。行きたいとこがなかったら、俺んとこでもいいし」
「ちょっと、青木君勝手に決めないで」
「全部終わったら、前に進めるかもって言ってただろう?半年分思い切って進めようよ」
ぎゅうっと抱きしめられる。
彼に抱きしめられても、半分じゃれてるみたいだけれど。
「なに言ってるの。ほら、それより、会場の方と細かい摺合せしなきゃ」
「それは、ちゃんとやってる。でも、その前に、フライング」
油断してた。
隙を見て、去り際、青木君にキスされた。
驚いて手を離した時にリストが床に散らばった。
彼の体を突き放し、にらみつける。
「こんなこと止めて」
床に落ちたリストが一枚、コーヒーの自販機の下に潜り込んだ。
それを、拾おうとして屈んだ時だった。