サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~

目の前に、井上真裕が立っていた。


青木君は、真裕が近くにいたことを知っていたんだ。

「じゃ、花澄、後でな花澄」彼は手を振って戻って行った。

「えっと……」

青木君は、行ってしまった。

デスクに戻るときに、コーヒーを買って行こうと思ってた。

青木君もいなくなったし、コーヒー飲むのをあきらめて私もその場を立ち去ろう。


「コーヒー飲むだろ?」
真裕が小銭を出して言う。


「いいえ」
一刻も早く立ち去りたい。

自販機の前で邪魔をしてたから、彼と入れ替わりに立ち去ろうと思った。


「どれがいい?」
彼が、自販機の前に立ってお金を入れた。



「いらないって」


「コーヒー?紅茶、それとも緑茶がいい?」真裕さんはやっぱり、人の話なんて聞こうとしない。


「ねえ、真裕さん?」


「えっと……ミルク入り微糖いつも飲んでたやつだな」


「あいつ、一生懸命だな」

彼は、出て来たコーヒーを渡してくれた。


「そうだね」


「だから、あいつの気持ちに応えたいとでも思ってるのか?」
彼も自分用に、ブラックコーヒーを買う。


「うん、そういうとこあるかもしれない。青木君いい人だから」

真裕は、コーヒーを半分ほど飲んでから言う。



「いいやつだったら、そいつとセックスできるか?」


「いつかは、できるんじゃない?」

彼の表情を見て、探りを入れたんだと分かった。


やられた!もう、
この手の引っかけに何度引っ掛かってるのよ!


「ヤツとは、まだなのか。あいつ大したことないな」


「青木君のこと、そんなふうに言うのはやめて」


「だって、ムカつくだろ」


あっという間に、腕を取られて彼の胸の中でもがいていた。


「冷たい。缶当たってるから、どかしてくれる?」


「ああ、えっと、ごめん」



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