サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
「真裕さん?もう、わたしに演技して見せるのは止めて。こんなところで、なにしてるのよ。私に関わってる場合じゃないでしょう?
式はもう目前なのよ。早くしないと、手遅れになるでしょう」
「分かってる。でも、ここがいい。このままこうして……」
腕を振りほどいて、彼から離れる。
「上手くいかなくても、一時だけよ。辛いのは。大丈夫。
前にも言ったけど、きついのは一時的なもので、そのうち元に戻るって。
そうなったら、儲けもので、後から、後から美人で素敵な女性がちゃんと見つかるから」
「そんなに簡単に行く訳ないだろう?」
「真裕さん。もう、前を向いて行こう。こんな風にするのも最後にして。
いくら、あの二人の為でも、私を利用するのは止めて」
「私の思いは……もうダメになっちゃったけど。
真裕さんには、まだ可能性があるんでしょう?
こんなところで、いじけてないで、頑張りなさいよ。
何年彼女のこと思ってきたの?
今ここで、行動を起こさないでどうするのよ。男でしょ、がんばれ」
私は……
あなたに、好きだっていう振りをされるたびに、心が張り裂けそうになる。
でも、好きだから。
後悔しないで欲しい。
何年も、抱えて来た……
菜々さんに対する気持ちを大切にして欲しい。
愛してます。
だから、行かないで……なんて言えない。
井上さんが、本当に優しい人だってわかってるから。
だから、私、あなたの力になりたい。