サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
パーティーが終わって
「落ち着いたか?」
真裕さんの声が思ったより近くで聞こえて、私は身震いする。
低くて聞きやすい声。
これからは、こんなふうに突然耳元で聞こえたりするんだ。
「いいえ」
こんなことされて、落ち着いていられるわけがない。
まどろんでいた、あらゆる五感が、彼の声一つで目覚めてしまう。
「あまりのことで、会場に荷物、全部置いてきちゃった」
「うん」彼は、嬉しそうにくすっと笑う。
携帯も、財布もみんな手元にない。
誰かが持って帰ってくれてると思うけど。
携帯がないから確認しようがない。
真裕と私は、彼の部屋のソファに仲良く並んで並んで座ってる。
冷蔵庫に入っていた、ヴーヴ・クリコを開けて真裕とグラスを傾けた。
「飲もうと思って、取っておいたんだ。今夜、乾杯にはうってつけだろう?」
私は、彼の方に体を向けて言った。
「まだ、何かたくらんでるの?」
「企んでるさ。決まってるじゃないか。せっかくの夜だし。ずっと、こうなればいいって思ってたから」
彼は、ほんの数センチだけ開けていた距離を詰めようと、ソファに置かれた腕を腰に回してくる。肌が触れあって、お互いの視線が合わさると、キスで確かめ合う。
真裕の部屋からの景色も、ラグジュアリースウィートの夜景に負けないほど素晴らしい。
「この間みたいに、部屋を取ろうと思ったんだけど」
「ん?」
「今日は、誰にも邪魔されたくなかったから家の方がいいと思ったんだ」
「うん」
こうなってしまったら、どこにいてもいっしょだけど。