サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
女の子たちが、曇っていく井上さんの顔を心配しそうに見つめる。
「あああ……井上さん。本当に残念です。菜々と井上さんの結婚式だったら、私たち喜んで参加するのに」
ん?
なに、今の。
『井上さんの結婚式だったら?』
何?じゃあ、それ以外って?
井上さん以外の新郎なら、式には参加しないってこと?
「参加するかしないかなんて、好きにしろよ」発言に満足そうに頷く彼。
心が広そうな言い方に聞こえるけど、逆のこと言ったら絶対、蛇のように睨んできそう。
「ですよねー」
ほら、女の子たち、井上さんの顔をじっと見つめて彼が頷くと、よかった正解でって顔してる。
強制してないけど、参加なんかしたら分かってるんだろうなって圧力を感じる。
菜々ちゃん取られて機嫌が悪いのもわかるけど。
やあ~だ。子供みたい。みんなが出席するの面白くないんだ。
クスッて笑いが口からもれた。
おっと、しまった。後退りするの忘れてた。
「それより、お前こんなところで何やってる」
彼は、今度、こっちを向いて言う。まずい。捕まった。
「何やってるって」
何やってたことにしよう。
「丸山先輩って、菜々の二次会の幹事なんですって。だから、出席できるかどうかって」
女の子たちが先に答えてしまった。
ああ、ちょっと待って、正直に言うなってば。
「ほう、二次会の出欠取ってんのか?」
「はい」という選択肢しかない私。
顎に手を置いて、また何かやらかしてるだろうと確信した井上さん。
彼は、私に冷ややかな視線を向ける。
「ちょっと、来い」逃げないように、腕をつかまれた。
何で私だけ?
「ちょっと待って、どこ行くのよ。だってまだ、この子達に聞いてないし」
まだ行かないでって、女の子にお願いする。
「お前ら、もう、行っていいぞ」
あんな威圧的ないい方したら、来るなって言ってるみたいに聞こえるじゃないの。
「えっと、式の方には出させてもらうから、二次会は遠慮しようかな?」
女子たちは、仲間同士で頷きあう。
どっちを選ぶなんて考えるまでもなかったみたいだ。
「わかった。早く戻れ」
「失礼します」
逃げるように去って行った。
私を残して。