サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
彼は、拝み倒しても効果がないと分かって、今度は、できるだけ自分の苦しい胸の内を、打ち明けるという作戦に切り替えた。
「同期のみんなに断わられてるんだ。さすがにめげるよ」
それは、西田のお嬢様に手を出す時点で、最初から考えておくべきでしたね。
「かわいそうに、苦労してるんですね」
私は、一応、形だけ同情して見せる。
「ああ、まったくだ」
いろいろ複雑な事情があるらしい、というのは私も聞いていた。
その事情のために、彼の同期の大半が、式の後の二次会の幹事を断っているという噂だ。
同期がだめなら、同じ職場ということで、なぜか、私のところにまで幹事の話が来ている。
うちの課で断れば、幹事代行の業者にすればいいんだけど。
同期の皆が参加しないわ、二次会も業者に頼めば、さすがに西田のおっちゃんも何か変だと気付くだろう。
だから、彼は、社内の誰かに引き受けてほしいのだ。
「でもさあ、竜也。よく考えたら、私の方がもっと可愛そうだったわ。
だから、ごめん、他の人に聞いてみて。
ああ、そうだ。竜也のお嫁さん。すんごい可愛いじゃない?彼女のお友達の二人や三人いるでしょう?そっち当たったら?じゃあね」
「おい。ちょっと待って、頼むよ花澄!!」