サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~



お昼を食べ終えて、オフィスに戻っても、私は、さっきの久美子との会話を引きずっていた。


『花澄にとって、彼はダメ男だよ』
って彼女が言ったことだっけ。


違うよ。そうじゃない。

『普通なら、ありえないんだから。井上さんと、花澄が上手く行くなんて』

そこか。

久美子に言われなくても、彼が選ぶような人は、西田専務のお嬢さんのような人だ。
久美子に言われなくても、そんなこと、よくわかってる。


でも、傍から言われるのは、なんかムカつくんだよね。気に入らないのは、そのことだけだ。
井上さんと、どうにかなろうだなんて、そんな大胆なことは考えていない。

井上さんて、野心家っぽい。お嬢様狙いとか。


ちょっと待ってよ。


けど、西田のお嬢様は生涯の伴侶に、あり得ない率ナンバーワンの竜也なんか選んでるし。


価値観の崩壊?

恋愛における下剋上?

ああ……

私は、あり得なくないって論調に持っていきたいの?

と油断していたら、後ろから竜也が忍び寄ってきていた。

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