サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
こんな時、誰?電話なんて、かけてくるのは。
のろのろ体を起こす。
――悪い。ずっと、電話掛けてくれてただろう?取れなくてごめんな。花澄、今何やってる。おい、平気か?
「何やってるのか分からないし、平気じゃない」
しばらく、沈黙……
そうだ。店の人に連絡取れる人はいる?って聞かれて、井上さんの携帯に掛けてたんだっけ。
――お前、相当酔ってるな。もういい。今、どこにいる?
「店」
――店じゃわからんだろう?
「お客さん?ちょっとすみません」
そう言って、いきなり携帯を取り上げられた。
バーテンさんが電話に出ながら、丁寧に謝る。
「あの、私まだ、話してるんですけど」
彼が、井上さんに向かって話し出す。
「あの、すみません。この女性お知り合いですか?実はうちの店、もうとっくに営業時間が過ぎてるんですけど、彼女、酔っぱらって動けなくなちゃったみたいで、俺、このまま自宅に連れて帰ってもいいですけど?どうします?引き取りに来ますか?じゃあ、お待ちしてます」
「お持ち帰り?」
さっきまで、相手をしててくれた店の人だ。
バーテンダーになる修行してるって言ってたっけ?
俺、まだ残ってるから飲んでて大丈夫ですよって言ってくれたんだ。
「お持ち帰りしてもよかったですか?俺でよければ、彼のこと待たないで店を出てもいいですよ?」
悪魔のささやきにも聞こえた。
どうしてお酒を飲むと男の人の声って色っぽく聞こえるのかなあ。
優しく髪を撫でてくれるけど、
突っ伏して寝てるカウンターのテーブルが、冷たくて気持ちいい。
だから、
「もう少し寝てます」って答えたのかも。