サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
エレベータの中にいる間、もう少し体を重ねあったまま、色っぽく見つめあったりできたらなあ、いいんだけど。もうちょっと彼に近づいて。
今日は、いろいろあって一人じゃ大変だったし。慰めてほしいなんて。
ちょっときつかったな。
竜也の前で泣きそうになっちゃった。
どうしたらいいのか分からなくて、一人じゃいられなくて、誰かの腕にすがって泣きたかった。
今夜は一緒にいられるかな。ベッドの中で話をしたい。
頭を撫でてもらいたい。
もっと近づいて。距離を詰めて。お互いのこと知りたい。
「お願い、一人でいたくない。竜也に……聞いて欲しいの」半分泣いていたと思う。
「いいから、つかまってろ。俺は竜也じゃないぞ。分かってんのか?」
「はい」
井上さんの体が清潔でいい匂いだと思う分、自分の体が汗臭い上にお酒の匂いがプンプンする。
「ひやっとして、固くて……カウンターより気持ちよくて好き」
「なに言ってんの?」
反応はそっけない。
「歩きにくそう」
歩くより、こうしていたいな。
「分かってるなら、ちゃんと歩け!」
「痛っ!!」
するっと腰を支えていた腕の力が抜けて、床の上にどさっと落とされた。
バランスを崩してお尻から落ちた。
扱いが丁寧で優しいっていうのは、前言撤回。
「入れよ」
冷たく怒る声がした。
ちょっと、今日は本当に怒ってるかも。