サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
昨日借りた部屋着を持って帰えろうかと迷っていたら、

「そのままランドリーBOXに入れておいて」
と、上着のボタンを留めている井上さんに言われた。

私は、リビングにいる彼に「すみませんでした」ともう一度、声をかけ部屋を出た。

彼は、何も言ってくれなかった。

いったいどっちが彼の気に障ったのかな。

何がこんなに彼を怒らせたのか、私には判断が付かなかった。

どっちにしても、こういう女は彼の趣味じゃないかもしれない。

菜々ちゃんみたいな女性が、酔って前後不覚になったことか、酔って彼に迫ったことか、彼女がこんなことするところ想像できない。

どっちもかな。考えてもわからない。
どうしていいのか分からないほど彼は怒ってる。

今さらどうしようもないやと、肩を落とした。

一言も言葉を交わさず、彼の部屋を出た。
何度か謝罪したけど、彼は無表情に私の言葉を無視した。

これは、怒ってるんじゃないのかも。
そんな不安がよぎった。


いったん、家に帰って鏡で自分の姿を見て驚いた。

髪はボサボサで、顔色が悪く目が厚ぼったくなって、ひどい顔だった。

ここまで酷いとは思わなかった。


一時間、氷で目を冷やしてみたけど、後から後から涙が出て来て、晴れが引くどころじゃなかった。本当に散々だったの。

竜也にあんなこと言われて。彼に甘えたかった。
それだけなんだけどどうやら、取り返しのつかないことしちゃったみたいだ。

感情が抑えられなくて、不安定でどうにかなりそうだった。

結局、その日は半日休んで午後から会社に行った。
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