サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
その日は、お昼休みの出社してずっと自分の席で仕事をしていた。

別の部署に行く仕事は、全部竜也に頼んでしまった。

竜也が、大丈夫と気に掛ける様子もなく、何も言わなかったことからすると、声をかけられないほど、ひどい顔だったのだろう。




夕方になって、青木君のいる店舗運営課まで備品を届けに行った。マスクをすれば何とかなると思った。


私の姿を見つけると、青木君が声をかけてくれた。

「ひどい顔してるね」やっぱり、そうか。

面と向かってそう言って来たのは、青木君だけだった。

「そう言って声をかけて来てくれたの、あなただけなんだけど、みんな正直に言えないぐらいひどいってことかな?」竜也も、私の顔については何も言わなかったし。

よほどひどかったんだろうな。

「んん……そうだね。何かあったのかなって心配して声かけた方がいいってレベルだと判断したよ」本当にこの人は、人のことによく気が付くのだ。

彼氏にすると女の子が気持ちよくいられる。間違っても、昨日みたいに不手際で相手を怒らす前に、警告してくれる。


「そう……」無理しないで、休めばよかったかな。
どう取り繕っても、元気いっぱいには見えない。


「なあ、金曜日って言ってたの、前倒しして今日付き合おうか?」
青木君が、心配そうに顔をのぞき込んでくる。


「ありがとう。でも、もう飲みたくないんだ」
酷い顔してるの分かるでしょう?


「じゃあ、酒は止めて、なんか元気が出るもん食べようか?なら、平気だろう?」


「うん」やっぱり青木君みたいな女の子の友達が欲しい。
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