サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
ショッピングビルのいろいろ並んだレストランのうち、ワンプレートにいろんな食材を乗せてくれるお店に入った。

「いいよ、話したくなかったら話さなくて」

「ありがとう」

どうして、この人、女じゃないんだろう。
女の子だったら、久美子を押しのけて一番の友人になるのに。

やたら爽やかで、瞼のはれた二日酔い女には目の毒なんだけど。

彼は、本当にしんどい時とか、すっと気が付いて、大丈夫って心配してくれる。

これが久美子だと、正面から切り込まれて、正論でどっちが悪いか判断される。

元気な時は、いいんだけど。
沈んでるときは、久美子は辛いのだ。


「とりあえず、食べようか?」そう言って笑いかけてくれる。

「ん」私は、デミグラスソースのたっぷりかかったハンバーグを見つめてる。
青木君は、私の様子が変だと思っても、黙って見ててくれている。


やっぱり、青木君は、傷口に塩を塗るような真似はしない。

本当にまずい。泣きそうだ。

たまたま入った、洋食屋さんのこじんまりとした店だった。

こんなところで、おいおい泣き始めたら彼も迷惑だろう。


「青木君は、飲みたかったら飲んでいいよ。私は、今日は止めとくけど」


「俺もいいや。花澄ちゃんが飲まないんなら、俺もウーロン茶でいいや」

ハンバーグを半分ほど突っついたところで、彼が声をかけて来た。


「なんかあった?」
青木君の顔を見て、ポカンと口を開けたまま見つめてしまった。


「いろいろありすぎて、どれが一番ショックだったのか分からない」


「そう、それは、大変だね」彼が苦笑いした。
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