サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~

「本当に大丈夫?」
自分のアホさ加減からすると大丈夫じゃない。
どこかに頭でもぶつけて、記憶を全部消してしまいたい。


「うん。ちゃんと帰れるって」

何度も送っていくって彼に言われたけど、一人になりたいって断った。
駅で、青木君と別れて一人で電車に乗った。


ずっと、マナーモードにしてて、電話が鳴ってたのに気が付かなかった。



電話の主は、少し、機嫌を直していた。

改札を出てから、電話に出る。



――体調。大丈夫か?今日遅刻したんだって?

「うん。少し眠ったから。大丈夫。だから心配しなくていいよ」
よかった。落ち着いて話すことができる。


――ごめん。昨日は冷静になれなかった。少し話さないか?

「うん」

――どうかしたのか?声が、元気ないな。


「どうもしてないよ。でも、本当にもう、心配しないで。もう迷惑かけないから」
声、震えてなかったかな。

――俺は迷惑だなんて思ってない。何を気にしてるんだ?おい、やっぱり変だろう?話そう。


「話すことなんかないよ。御曹司さん。私、あなたがそういう立場の人だって本当に知らなかった。私は、そういう立場の人と恋愛するなんて考えられないんです。だから、もう、こんなふうに電話もかけてこなくて大丈夫です」


――おい、なに言ってる?

「知らなかったんです。あなたが眞子社長の息子だったなんて。だから、数々の無礼をお許しください。あと少し、二次会が終わるまでよろしくお願いします」


――ちょっと待って、そんなこと関係ないだろ。ちゃんと人の話を聞けよ


「ごめん、私には話すことなんてない。短い間でしたけど、いろいろありがとうございました。では、さようなら」

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