サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~
「前と同じようにキスもできないんじゃ、君の言うことなんか聞かない」

「あなたにキスなんかしません。一生、あきらめて下さい。いったい、何ですか?先に拒絶したのは、あなたの方です」

「やっぱり、この間のこと怒ってるじゃないか」

「怒ってません。話は終わりです。いい加減にここから出してください」

こんなに、きっぱり断ってるのに。

「嫌だね」

私の事、からかってるの?


「では、勝手にしてください。私はもう、知りません」


「もう、そんなにむくれるな。機嫌直せ」
彼が、私の腕を引っ張って引き寄せる。


「怒ってなんかいません。でも、理解してください。私は、あなたとはお付き合いできないってこと」立場がどうっていうことじゃなくて、井上さんは私を気分1つで、いつでも放り出せるのだ。私は、竜也にされたようなことを、もう二度と味わいたくない。


「そっか、付き合わなきゃいいのか」
一本取ったみたいに嬉しそうな顔してる。


「あの、私の言ってる意味、分かってますか?」
人の話を聞かないってとこは、いつものことだけど。

「わかるかよ。そんなもん。何で御曹司だと恋愛の対象外なんだ。君こそ理由になってない」


「私、付き合うなら、普通の人って決めてるので。ごめんなさい。私あなたの気持ちに沿えません」

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