アクアリウムで魅せて
---『BLUE ROSE』

名前の如く青を基調としたお店らしい。




バーカウンターを照らすブルーライト。横にあるアクアリウムはマスターの趣味なのか、よく手入れがされていて、中で泳ぐヒラヒラとした尾びれの魚が優雅に泳いでいる。


品が良さそうな、日本ではあまり見かけないお洒落な形の家具の数々が、ラグジュアリー気持ちを誘う。






「ねぇ、香織見て。あのバーテンダーさんすっごいイケメン……」


菜月の視線の先に、バーカウンターが似合う、まさに"大人な男代表"と言っても過言ではない男性が、マダム相手に素敵な笑みをこぼしている。


……この店のマスターなんだろうか。



私達の視線を察して、その男性は目の前のお客さんに軽く断りを入れるとこちらにメニューを持ってきてくれた。






「よろしければどうぞ。表側はスタンダードの物を、後ろのページは当店オリジナルになります」


ページを開く手が程よく日焼けしていて色っぽいなぁ……だなんて。


い、いけないいけないっ。
思わず私まで見惚れてしまった。





「たくさんある中から当店を選んで頂きありがとうございます。どうか、素敵な夜を」


そう一言添えて、彼はカウンターに置いてあった小さいグラスに、青い薔薇を二輪飾ると、紳士な振る舞いでサッと一礼した。

粋な振る舞いに驚いて固まる私達。







……きっとこのお店は、世の女性の心を掴むテクニシャン集団に違いない。


< 15 / 21 >

この作品をシェア

pagetop