正反対の二人
プロローグ~二人の過去
「う、うぇーーーん」
「なっ何してんのよ。楓をはなして」
バコ
「いってー、なにすんだよ、奈夢」
小さい楓の胸ぐらを掴んで何やらしていた男のこに思いっきりケリを入れる。
「ヒック、ヒック」
絶えず泣き続ける楓。
「もう、あっち行ってよ。今度楓をいじめたらお母さんに言いつけてやるんだから!!」
そうゆうと何か文句を言って何処かへ行った。
「楓、大丈夫?」
「~なむちゃ、ん。あ、りがとう」
「どういたしまして。」
私は楓の手を握る。私より小さい手。
きゅっと強めに握ると楓は泣き止んでくれるんだ。
楓は私と同い年だが頭一個分小さくて私を見上げる形になる。
目は真っ黒で真ん丸。綺麗な二重で女の子のように可愛らしかった。
私は『こんな可愛い楓をいじめるなんて考えられない』って思うんだけど、ほかの男の子達は
それが気に食わないらしくてこうしてよくいじめられる。
楓がいじめられるたびにこうして追い払うんだけど
「なむちゃんは強いね。」
私より小さくて、私の何倍も可愛い楓。
思わず、守りたくなちゃうような男の子。
「私、楓を守れるようにもっと強くなるから。」
「もっと?」
「そう、もっともっと強くなる。だから楓はずっと可愛い楓でいてね。」
強くなってもう、誰にも楓にひどいことさせない。
楓は可愛くていい子なんだから。
「なむちゃんはずっと一緒にいてくれる?」
可愛い楓が私を見上げて聞いてくる。
「当たり前でしょ。私は何があっても楓の見方だから。」
そう言うと楓はにっこり笑ってくれる。
そんな楓を見ていると、
「あっ楓、足怪我してる」
「擦り傷だよ」
小さい足にできた傷は血が出ていて、痛々しく見えた。
「ダメ。うちにおいで。私のお気に入りのうさちゃんの絆創膏貼ってあげる。」
「奈夢ちゃん、ありがとう」
私はなんだか嬉しくなって手を差し出す。
楓は笑いながらその手をとった。