正反対の二人
ゴチ
鈍い音を立てて男の拳が私の脇腹を直撃した。
「いたっ」
私は痛みにはを食いしばりながらも
男を睨みつける。
これはおじさんのものでしょ。
そして驚いている男の手から黒い財布をひったくった。
「はい、おじさん」
迷うことなくそれをサラリーマンに渡す。
「あ、ありがとう、きみ」
そう、お礼を言われニコリとわらおうとした瞬間。
がし
「なっ」
肩を強く捕まれ、痛みに顔をしかめるのも構わずにそのまま片手で
私の顔をわしずかむ。
笑おうとしたその顔が歪む。
「へー近くで見ると可愛いじゃん。」
ヘラヘラと笑っている。
気持ち悪い
怖い
だんだんと近づいてくる顔に本能的に恐怖を感じた。