正反対の二人
再び鈍い音がすると
男の子があの男の胸ぐらを掴んでいる。
あの男の頬には殴られた跡が有る。
抵抗していたが、ぎらりと絶対零度の目で睨らまれるとブルリと震え上がらせた。
怒気を交えてさらに強いオーラを放っているからだろう。
無理もないよ。私から見てもすっごく怖いのに。
至近距離で睨まれたあの男の恐怖は計り知れないだろう。
あの男に少し?同情をしてしまった。
そんな男をそのままぐっと持ち上げて
ぐっと鼻が合わさるくらいに顔を近づけ
「次はないと思え」
そう恐ろしく低い声で言ってパッと手を離す。
ドサ
手を離すと男は重力に従って尻餅をついて
ひぃ、と情けない声を出しながら、逃げた。