クールな先輩を恋の矢で射止めます



あたしは頭の中でそんなことを考えてて、目の前にいる人の話を全然聞いてなかった。



でもあの人って女の人なんですか?なんて聞けるわけもなく……。



「あ、これ。うちの部活も部員募集してるので、良かったら見学だけでも来てみてください。



アイツもノルマのチラシ全部渡しちゃうような奴ですけど、弓道してる時は本当にすごいんで!



良かったら、ぜひ」



にこっと笑いながら、今度は1枚のチラシを丁寧に渡してくれた。



「あっ、はい…」



「では俺戻らないとなんで」と言って声をかけてくれた男の人は他の弓道部の子たちのところに駆け足で戻っていった。



結局その後も体育館に着くまでにいくつか部員募集のチラシはもらったけれど、やっぱりあたしの中で一番印象に残ったのは弓道部だった。



だから入学式の間にも弓道部だけは絶対に見に行こうって決めたんだ。



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