クールな先輩を恋の矢で射止めます
そして翌日。
毎日、弓道部の状況を春歌に教えてもらっている。
だけど、今日はそれを聞くのでさえ、昨日のことを思い出しちゃって辛い。
「それでね!昨日ね、勇気を出して雪名先輩に『弓の引き方教えて下さい!』って頼んでみたんだけど……
何にも返事してもらえなかった!
だから花が本当に羨ましいよ!!」
「そうかな……」
あたしだってあの日、断られちゃったし。
こんな気まずいことになっちゃったのに……羨ましいのかな。
心の中でそっと呟く。
「どうしたの?今日なんかいつもと違うね。」
あたしの顔を覗き込みながら『なーんか変!』と言う春歌。
でも話してもっと落ち込みたくもなくて『なんでもないよ』と答えようとしたその時だった。
「花ちゃん!」
と廊下の方からあたしを呼ぶ声が聞こえたんだ。