クールな先輩を恋の矢で射止めます
「先に資金集めにバイトするからすぐに入れないって言えば良かったですよね……」
本当にそう思うけど、でもあの時の自分は惨めな気持ちを言いたくなかった方が強かった。
「まーね。でもそれはこういう事情があったんだからしょうがないよ。
それでも俺、ここで言ったよね?」
「??」
あたしは首を横に傾げた。
ここでってことは部活見学の時か、入部の話をしに来た時のどちらかだ。
でも何か大事なことなんて言われたかな。
「花ちゃん、俺ショックー!結構大事なこと言ったつもりだったんだけど」
「……すみません!すみません!
あの時、すぐに入部できないショックとバイト探すことでいっぱいで……」
何にも記憶にないから、俯くことしかできない。