クールな先輩を恋の矢で射止めます
こんな大人でも、小さい子供でもないけど、でも自分でどうすることもできなくて
落ち込んだりもしたけど、山崎先輩と雪名先輩のおかげで弓道部に入れる可能性が前よりも広がった気がする。
「それからこれは新入部員に毎年プレゼントしてるんだけど、花ちゃんにも!」
山崎先輩に差し出されたのは『弓道教本』と書かれた一冊の本。
「ありがとうございます。でもあたし、まだ入部してないのにもらっちゃってもいいんですか?」
「もちろん!バイトもあって忙しいと思うけど予習しといて。
本格的には雪名が教えるから」
その後も山崎先輩は『そうそう!』と思い出したみたいで、
雪名先輩の家は弓具屋だってことや
普通に販売もやってるんだけど、レンタルもやってて
あたしにくれたのはレンタルで貸し出ししてたやつのを新しくするからって雪名がもらってくれたんだって。
「来月待ってるから、バイトもいい経験だしせっかくだから楽しんできて!」
「はい!」
あたしはもう一回ふたりにお礼を言って頭を下げると、来た時とは大違いなくらい軽い足取りで教室に戻ったんだ。