社内恋愛発令中【完】
こんなに見つめられることは初めてで、その目を見つめ返すことができない。



「こ、コンタクトあるんですけど…手入れがめんどくさいというか…」



「なんだよそれ」



蒼井さんがプッと吹き出し、眉を下げて笑う。



いつもと違う場所にいるからか、2人きりだからか、私服の新鮮さからかは分からない。



だけど心拍数が上がっていることは間違いなかった。



「なあ」



下を向いていたあたしを呼ぶ蒼井さんの声。



見上げてその顔の距離に驚いた。



「な、なんですか…」



そのまま手を伸ばした蒼井さんは、あたしの眼鏡を取ると



「やっぱり」
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