社内恋愛発令中【完】
「詩苑ちゃん帰んないの?」



今日1度も会話ができなかった遥さんが、首をかしげながら話しかけてきた。



「みんなが帰ったら帰るよ〜」



あたしがそう言うと、遥さんはそっか、と言って手を振る。



あたしもバイバイと言いながら手を振った。



「双葉さんまた明日ね」



部長にお弁当を食べてもらったからか、ご機嫌な桜瀬さんがあたしに笑顔を向けた。



その綺麗な笑顔に見惚れながら、あたしは頭を下げる。



「はい!お疲れ様でした!」



次々とみんなが帰っていく中、最後まで残ったのは係長の蓮也さんと、部長の蒼井さんだけ。



案の定、といえばそれまでかもしれない。



「何で蓮也も残ってんの?」



「やだな部長、最後のゴミ拾い1人でやるつもりですか?」
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