社内恋愛発令中【完】
入って見えたのは、社長が椅子に座り、その両隣に男の人。



あたしを見る目が怖い。



「君が双葉くん?」



「は、はい」



頷くと、社長と思われるその人は持っていた資料を机の上に叩きつけた。



バンッと音が響き、肩が上がる。



「これ、君がパソコンで打ったものだよね?」



そう言われて覗き込むと、それは確かに桜瀬さんが帰ってしまったあの日、蒼井さんから頼まれた資料だった。



「…はい」



「これなんのための資料だったか知ってる?」



優しい口調とは裏腹に、声に力がこもっていて手足が震えてしまう。



「…分かりません」
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