社内恋愛発令中【完】
「双葉のミスは、確認を怠った私の責任でございます。どうか双葉のことは許してやっていただけないでしょうか」



その頭を下げたまま、社長に頼み込んだ。



「…蒼井くんがそこまでする必要はない。頭を上げてくれ」



社長は静かな口調で蒼井さんにそう告げると、その目はあたしを捉える。



「今回は大きな契約ではなかったから、蒼井くんの顔に免じて目を瞑るが…」



そう言うと資料をあたしに投げつけて、



「反省をして、同じミスは絶対にしないようにしなさい」



もういい、と戻れのジェスチャーをする。



あたしと蒼井さんは頭を下げ社長室を出た。



廊下に出た瞬間、やっと肺に空気が流れ込む。



震えていた足の力が抜け、社長室を出た瞬間崩れ落ちた。



「お、おい」
< 120 / 355 >

この作品をシェア

pagetop