社内恋愛発令中【完】
「もう電話の対応はできそう?」



紙をあたしに渡しながら、蒼井さんはそんなことを聞く。



「自信ないです…」



不安げに蒼井さんを見上げた。



「まあ出てもらうけど」



あたしが何と答えようと、結局は電話対応をさせるつもりだったのだ。



じゃあ聞くなよ、と心の中で突っ込む。



「明日からの電話、ぜんぶ双葉に回すから」



「えぇ!?」



「よろしく」



ニコッと綺麗な笑顔をあたしに見せると、蒼井さんは自分の席へと戻ってしまった。



イエスもノーも言わせない蒼井さんの態度。
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