社内恋愛発令中【完】
あたしは蓮也さんの元へ小走りで駆け寄る。



その足音を聞いた蓮也さんがハッと振り向いた。



「あ、なんだ詩苑ちゃんか。びっくりさせんなよ〜」



パタパタとうるさい足音に驚いたのか、蓮也さんは眉を下げて笑う。



「歩いてたら蓮也さんが見えたのでつい…」



へへ、と笑うあたしを蓮也さんが小突く。



「またそんな可愛いこと言って〜」



蓮也さんは上司なのに、隣にいて安心するなんて言ったら失礼だろうか。



友達のような感覚で隣にいられるなんて言ったら、調子に乗ってると思われてしまうだろうか。



考え事をするあたしの顔を見て、蓮也さんは思い出したように声を発した。



「そういえば、部長の秘書になったって本当?」



「あ、はい!一昨日から秘書として働かせてもらってます」
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